「現場通訳」とはどんな仕事?

現場通訳とはどんな仕事?

「現場通訳」という言葉を聞いたことがありますか?

この単語を耳にしたことがある方は、あまりいないかもしれません。
Google検索でも、ほとんど情報が出てこないほど認知度が低い単語です。
しかし、現場通訳はあまり知られていないにも関わらず、市場ニーズが非常に高い職種です。

本記事では、「現場通訳」とはどのような仕事なのかをご紹介します。

この記事の目次

「現場通訳」は「技術分野の現場で働く通訳者」

「現場通訳」とは、文字通り「現場で働く通訳者」を指す呼称です。
一口に「現場」といってもさまざまな現場がありますが、一般的には「技術分野の現場で働く通訳者」を指します。
「工業通訳」と呼ばれることもあるようです。

それでは、「技術分野」とはどのような産業を指すのでしょうか。
主な分野としては、エネルギー産業、鉄鋼業、化学工業、自動車工業、造船業などが挙げられます。

通訳者はそれぞれ専門分野を持っています。
医療、金融、政治、放送、法律などさまざまな専門分野に分かれますが、その中で技術分野に特化した通訳者を「技術通訳」、さらに「技術分野の現場で働く通訳者」を「現場通訳」と呼びます。

現場通訳が求められる場面

最も多いケースは、来日外国人技術者付きの通訳です。
日本企業が海外から機器を輸入し、その機器の設置、試運転、運用、メンテナンス、トレーニング、現場視察などの目的で外国人技術者が来日します。

また、海外企業が日本に支店や子会社を持っている場合、スタッフや取引先とのコミュニケーションを円滑にするために現場通訳が必要とされることがあります。
その逆も然(しか)り、日本企業が海外に支店や子会社を持っているケースも同様です。

現場通訳の主な業務場所は工場やプラントなどです。
具体的には、発電所、製鉄所、製油所、化学工場、自動車工場、造船所などが挙げられます。
主な業務場所は「現場」ですので、技術通訳者であっても、専(もっぱ)らオフィスやリモートで会議の通訳をするような通訳者は現場通訳と呼びません。

現場通訳のイメージ

現場通訳者の基本的な服装は、ヘルメット、安全靴、作業着、反射板付きベストなどです。

現場にはさまざまな危険が潜んでいます。
クレーンやフォークリフトなどの重機を使用したり、有害物質を取り扱う現場もあります。
高所作業が見込まれる現場では安全帯やハーネス、騒音の大きい現場ではイヤーマフや耳栓の着用が求められる場合もあります。

いわゆる「男の職場」で、女性比率は低い職場です。それに伴って、女性の現場通訳者も少ない傾向があります。

また、現場は終日立ちっぱなし・歩きっぱなしのことが多く、体力的にタフでないと現場通訳は務まりません。
暑さ・寒さが厳しい現場もありますし、高所や閉所で通訳をする場面もあるので、恐怖症の方にとっては厳しい環境です。
作業着がオイルや粉塵(ふんじん)で汚れることもあり、騒音の大きい機械の隣では声を張り上げて(なかば怒鳴りながら)通訳をする場面もあります。

現場通訳は市場価値が高い

現場通訳は、需要が高いにも関わらず供給が少ないため、市場価値が高い職種です。
それはなぜでしょうか?

ご存じの通り、日本は「ものづくり大国」であり、優れた製品を世界中に輸出しています。
その一方で、日本は経済大国でもあるため、海外からの輸入も多いのです。
海外マーケットとの取引が多い日本では、必然的に通訳の需要が生まれます。

一方で、現場通訳を目指す通訳者は少ないのが現状です。
通訳の花形といえば、なんといっても国際会議や政治家の通訳です。
そのため、通訳者の道をキャリアとして選んだ方たちは、これらの場で活躍することを目標にしていることが多いのです。
また、通訳という職業は、主に言語能力と文化理解が重視される文系の分野であり、工学や科学などの技術的な分野に苦手意識を持つ方が多いことも大きな要因であると思われます。

上記の理由から、現場通訳が育ちにくいという課題があり、探す側も苦労されることが一般的です。

現場通訳者は「縁の下の力持ち」

現場通訳とはどんな仕事なのか、少しイメージが湧きましたでしょうか。
あなたが想像していた通訳像とはだいぶ違っているかもしれませんね。

現場通訳は完全な裏方であり、「縁の下の力持ち」という表現がぴったり当てはまります。
表舞台に立つことはありませんが、コミュニケーションのキーパーソンとして、プロジェクトを円滑に進めるために不可欠な存在です。
技術的な専門知識や専門用語に精通していることはもちろん、人と人の間に入って関係性を構築する高いコミュニケーション能力も求められます。

通訳という職業にも、さまざまな形で携わっている人がいることがおわかりいただけたと思います。
現場通訳は、世間一般に知られている存在ではありませんが、たしかな社会的需要があるのです。

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この記事を書いた人

INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。

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