日本人が英語ができない本当の理由

日本人が英語ができない本当の理由

「日本人は英語ができない」ーこれは、何十年も前から言われ続けてきたことです。

英会話スクールや英語塾の広告が、今なお街中に溢れている現状を見ると、日本人の多くが英語コンプレックスを拭(ぬぐ)いきれていないことがうかがえます。
2024年度「非英語圏世界英語力ランキング(EF EPI)」の統計では、日本の英語力は116か国中92位で「低」と酷評されており、先進国の中ではダントツの最下位です。※脚注1

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核心を突いていない一般的な指摘

なぜ、日本人は英語ができないのでしょうか?
ネット上では、多くの理由が挙げられています。

  • 日本語と英語は文字体系や文法の違いが大きく、習得するのが困難
  • 日本人の話下手な性格に起因している
  • 人前で失敗するのが恥ずかしいとうメンタリティが、話す練習の機会を損失させている
  • 日本に住んでいると英語を使う機会が少ない

いずれも一理あるものの、「たしかに!」と膝を打つような説得力に欠ける印象があります。
日本人が英語を習得できない本当の理由とは何なのでしょうか。

日本人が英語ができない本当の理由

1. 日本の経済が強いから

最大の要因は、日本では「英語ができなくてもお金に困らない」ことにあると言えます。

日本のような経済大国では、国内市場が大きいため、失業率が低く、国内にじゅうぶんな数と質の求人があります。
海外で働く必要性が小さく、英語ができなくとも仕事に困らないため、英語を学ぶモチベ―ションが切実でないのです。
企業にとっても、国内市場だけで商品やサービスを展開してもじゅうぶんな利益が見込めるため、従業員に英語力を求める必要性がありませんでした。
この傾向は日本に限った話ではなく、ドイツ、フランス、イタリアといった経済大国でも同様です。
これらの国々もまた、一般国民の英語レベルは高くありません。

対照的な例として、フィリピンやインドが挙げられます。
両国とも経済後進国であり自国に仕事のチャンスが少なく、賃金が極めて低い。
フィリピン人の平均月収は約4~5万円ですが、海外に出稼ぎに出れば同じ職種で20~30万円の収入が望めます。
フィリピンでは国民の10人に1人が海外に出稼ぎに出ており、2024年度の本国への送金額は年間383億米ドル(4兆円強)にも上り、これは同国のGDPの7%に相当します。※脚注2

こうした海外出稼ぎを可能たらしめているのが英語力です。
両国とも英語を第2外国語と位置付けており、全国民の英語レベルが非常に高い。
英語を習得すれば海外で高収入を得るチャンスがあるという明確な実利があるため、学習のモチベ―ションが高いのです。

2. 英語教育環境の未整備

2つめの要因は、日本の英語教育が時代に適応できていないことです。

学校教育では、いまだに旧態依然とした「読み・書き」に重点を置いた教育で、「聞く・話す」が疎(おろそ)かです。
かつては、海外の論文や書物を読んで知識を得ることが重要視されていたため、文法や読解力が求められてきました。
しかし、AIが台頭した現代では、読み書きよりも、リアルなコミュニケーション力が重要視されるようになるでしょう。
英語を駆使して世界中の人々とコミュニケーションを取り関係を築くためには、AI翻訳でなく自分の言葉で話す必要性があるからです。

ところが、日本の英語教師の多くは、じゅうぶんな英語でのコミュニケーション能力を持ち合わせていません。
英語で相手の意図を正確に理解する、自分の意思を正確に伝える、など、コミュニケーションの基本ができていないレベルと言わざるを得ません。
教師のレベルが低ければ、生徒もそこから多くを習うことはできません。

「聞く・話す」を補完するために、英語のネイティブスピーカーも教師として多く導入されていますが、多くは教師の資格を持っているわけではありません。
教育のプロではないため、効果は限定的です。
日本人なら誰でも日本語を教えられるわけではないことが明らかなように、「ネイティブ=良い教師」の図式は成り立ちません。

時代の変化に伴って求められる英語力

しかしながら、近年、日本を取り巻く状況は変化しています。

長年にわたる経済停滞で賃金上昇が見込めず、オーストラリアやアメリカに出稼ぎする若者も増えているといいます。
30年前に世界一と言われた日本の物価は、2025年現在では191か国中62位です。※脚注3
また、インターネットの普及によってグローバル化が加速度的に進み、国境を越えたビジネスは日常になりました。
日本市場だけで完結する時代は終焉(しゅうえん)を迎えています。
日本市場はしばしばガラパゴスという表現で揶揄(やゆ)されますが、多くの業界において、日本が他国に後れを取っている感は否めません。

これからの日本人は、国内だけに留まらず海外に挑戦していく力が求められるでしょう。
その第一歩が、国際言語である英語を身につけることです。

INTERP合同会社の取り組み:グローバル人材育成プログラム

こうした時代の要請に応えるべく、INTERP合同会社は、海外ビジネスに長年携わってきた知見と経験を活かし、「グローバル人材育成プログラム」を提供しています。
日本人に不足している英語力の底上げと、国際的なコミュニケーション能力向上に重点を置いたプログラムです。
日本人がグローバルな視野を広げて国際社会で活躍できる力を養うことを通じて、日本経済の活性化に貢献することを目指しています。

  1. 脚注:EF English Proficiency Index「The world’s largest ranking of countries and regions by English skills」(2025年5月8日取得:https://www.ef.com/wwen/epi/↩︎
  2. 脚注:Philippine Institute for Development Studies「Remittances reach record-high $38.3 billion」(2025年5月8日取得:https://www.pids.gov.ph/details/news/in-the-news/remittances-reach-record-high-38-3-billion↩︎
  3. 脚注:The Economist「Big Mac Currencies」(2025年5月8日取得:https://www.economist.com/finance-and-economics/2001/04/19/big-mac-currencies)
    nippon.com「Why Is Annual Income So Low in Japan?」( 2025年5月8日取得:https://www.nippon.com/en/japan-topics/c14023/
    Livingcost.org 「Cost of Living in Japan」(2025年5月8日取得:https://livingcost.org/cost/japan↩︎
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この記事を書いた人

INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。

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