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日本市場は、経済用語においてしばしば「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されます。
この表現は、決して誉め言葉ではありません。
「国際基準に沿っていない」「海外ビジネスの常識が通用しない」、「世界の潮流から取り残されている」のといった意味で使われています。
他の大陸から遠く切り離されたガラパゴス諸島に生息する固有種のように、日本市場は「独自の進化」を遂げてきました。
ヨーロッパ中心に描かれた世界地図を見ると、日本は文字通り世界の果てにある「極東の島国」であり、地理的にも精神的にも、世界のビジネスから遠く隔てられた存在として位置づけられてしまいます。
筆者も海外に拠点を置き、日本と海外のビジネスを橋渡しする立場にありますが、やはり日本の市場やビジネス慣習は独特だなあ、と感じ入ってしまうことが少なくありません。
ガラパゴス化とは、「世界基準から外れている」ことです。
世界基準とは何かと聞かれれば、それは私たちがよく耳にする「グローバル化(またはグローバリゼーション)」です。
グローバル化とは、主に欧米先進諸国を中心とした国際基準であるため、日本のやり方と異なるのは当然といえるでしょう。
日本が世界基準から外れていることは、海外ビジネスにおいて大きなディスアドバンテージです。
もっとも致命的な要因は、世界の共通言語である英語が扱えないことです。
英語が話せないことによって、外国人とコミュニケーションをとることがかなわず、国際的なビジネスネットワークを築く障壁となります。
日本に進出したい海外企業は星の数ほどありますが、やはり日本人が英語を話せないこととビジネス慣習が独特のため、参入障壁が高いと捉えられています。
日本経済は長らく停滞していたとはいえ、今もなお有数の経済大国であり、市場規模が大きい。
そのため、海外市場を無視し、日本市場のみに焦点を当てたビジネスがじゅうぶんに成立してしまうことで、海外とのビジネスチャンスを逃しているともいえるでしょう。
グローバル化がもたらすのは、「世界の均質化」です。
資本主義全盛の現代においては、生産性を最大化することが最優先され、業務の効率化・合理化・標準化が推し進められてきました。
その手段としてグローバル化が推進され、この数十年で私たちの生活は飛躍的に便利で豊かになりました。
一方、その副作用は「無個性化」です。
どこの国へ行っても、マクドナルドやスターバックスがあり、人々はiPhoneでYou TubeやNetflixを観ています。
シワのないシャツのように、世界全体が味気のない、のっぺりしたものになっている感は否めません。
インターネットが普及してから世界のグローバル化は急速に進み、特に欧米諸国に支配されていた歴史を持つアフリカや中南米では、その傾向が顕著です。
グローバル化が進んだ多くの国々では、個性と多様性が急速なスピードで失われているのです。
グローバル化を手放しで礼賛する時代は終わりに近づいています。
また、グローバル化を下支えする資本主義自体にも懐疑の目が向けられており、その象徴として、ローカル文化やサステナビリティが注目されています。
こうした状況の中、日本の「ガラパゴス化」はポテンシャルを秘めています。
「日本はグローバル化できていない」という現実も、角度を変えてみれば「まだグローバル化に飲み込まれていない」という見方もできるのです。
世界の潮流から離れた進化は、世界の常識の枠を外れて独創性に満ちた進化であると言えます。
イノベーションや新しいアイデアが求められる現代ビジネスにおいて、「ガラパゴスの当たり前」は金の卵かもしれないのです。
近年、日本のインバウンド観光が大盛況です。
遅延のない電車、街の清潔さ、治安の良さなどは海外で高く評価されています。
日本の漫画・アニメ・ゲームは世界中にファンを抱え、ラーメンや寿司といった日本食は世界中で食べられ、禅や空手といった東洋思想・精神文化に憧れを持つ外国人は少なくありません。
世界中の旅行客が日本を目指すのは、そこにしかないものが眠っているからです。
私たちにとっての「ふつう」は、世界では「特別」なのです。
しかし、日本の「ガラパゴス化」に独自の価値があったとしても、内向き志向のままではその魅力は伝わりません。
必要なのは、自らの価値を相手の文脈で語り、世界に発信する力です。
それを体現できるのが、日本と海外、両方の文化・価値観・ビジネス慣習を理解し、橋渡しができる存在である「グローバル人材」です。
一見、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、日本は、「ガラパゴス化を活かすためにグローバル化が必要」なのです。
グローバル化は日本らしさを失わせるものではなく、むしろその逆です。
「日本らしさ」を再定義し、世界と共有するためのツールとなるのです。
ガラパゴス化を磨き、伝え、活かすことで、日本はグローバル化のあり方そのものを塗り替えるポテンシャルを持っているのです。
INTERP合同会社は、長年にわたり海外ビジネスの現場に携わってきた知見と経験を活かし、グローバル人材育成プログラムを提供しています。
日本の魅力と独自性を世界に発信し、停滞した日本経済を活性化するべく微力ながら貢献してまいります。
INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。
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