語学留学の本当の意義~グローバル人材に欠かせない「生きた教養」を体得する~

25.語学留学の本当の意義~グローバル人材に欠かせない生きた教養を体得する~

語学留学は、依然として盛んです。
近年は、海外の物価高や航空券高騰の影響で減少傾向にありますが、それでも年間66,000人以上の日本人が、語学留学に飛び立っています。※脚注1

語学留学は決して安価ではなく、時間も必要です。
それでも多くの日本人が語学留学を選ぶのはなぜでしょうか。
日本人は、語学留学に何を求め、何を得るのでしょうか。
その「本当の意義」について考えてみたいと思います。

この記事の目次

語学を習得するために留学は必要か?

語学留学では、海外の語学学校へ通い、学生寮やホームステイに滞在するのが一般的です。
インターンシップや各種資格取得コースなどのオプションを組み合わせるケースもありますが、主たる目的は文字通り「語学の習得」にあるといえます。

しかし、現代では、語学学習の選択肢は豊富で多様です。
各種アプリ、You Tube、外国人とのオンラインレッスン、さらにはAIチャットを使った対話練習など、コストをかけず国内で学習する環境に恵まれています。
これだけリソースが溢れている現代で、わざわざ多くの費用と時間をかけてまで、語学留学をする価値はどこにあるのでしょうか。

語学力よりも「生きた教養」

その答えは、語学習得よりも「生きた教養」の体得にあるといえるでしょう。

世界中から集まった多様なバックグラウンドを持つ人々の中で生活すると、自分とは異なる価値観や文化に日々直面します。
日本での常識が他国では非常識、またその逆もあります。
自分の何気ない言動が誤解を生んだり、また逆に驚かされたりすることもあるでしょう。
予期しないトラブルが起こるかもしれませんし、心からの友と呼べるような友人ができるかもしれません。

語学留学が意味を持つのは、海外生活そのものが教養となるからです。

自分の経験だけが、血となり肉となる

水泳の本を何冊読んでも、水に入らなければ泳げるようになりません。
ピアノを弾けるようになるには、毎日鍵盤に向かうしかありません。
スポーツや音楽と同じように、グローバル感覚もまた「知識でなく身体で体得するもの」です。

例えば、「メキシコってどんな国?人はどんな気質?」と聞かれたときに、メキシコに行ったこともなく、メキシコ人と会ったことがなければ、答えられませんよね。
ネット上で得られるのは、陽気であるとか治安が悪い場所があるとか、断片的で短絡的なものに過ぎません。
しかし、あなたが実際にメキシコを訪れ、現地の人々と時間を過ごし、語らい、食べ、飲み、学び、遊び、眠り、一定の期間生活をしたなら、そのとき初めて、自分の言葉で語れるリアルなメキシコが芽生えるはずです。
自分の身体で体得した「ナマの経験」こそが血となり肉となり、自分の一部となるのです。

時代が求める「リベラル・アーツ」としての海外生活

移り変わりの激しい現代ビジネスでは、「すぐに使えるスキルはすぐに陳腐化する」といわれています。
かつては重宝されたプログラミングやMicrosoft Officeのスキルも、今ではノーコードやAIによって急速に代替されています。

そんな時代にこそ、近年改めて注目されているのが「リベラル・アーツ(一般教養)」です。
哲学、心理学、宗教、歴史、文学、芸術といった素養は、社会に出て即戦力となるものではありません。
しかし、それらは思考の幅を広げ、創造性の土台を形成してくれるのです。
語学留学による海外生活も、まさに「生きた教養」のひとつです。

グローバル人材に必要な資質として、異文化理解、クリティカルシンキング、適応力などが挙げられますが、こうした力は短期間の座学や研修で身につくものではありません。
海外生活というリアルな経験は、それらを育む唯一無二の学びの場なのです。

INTERP合同会社の取り組み―日本の未来を切り開く世代の育成「マルタ留学」

INTERPは、2024年よりマルタ留学を専門に取り扱う、株式会社S.H.C. Collaborationと協業を開始しました。
代表の吉田がマルタに居住している地の利を活かし、グローバル教育プログラムの企画や現地機関の開拓に取り組んでいます。
日本の将来を担う若い世代が、海外生活を通じて「生きた教養」を得て、国際社会で活躍できる力を養うことを目指しています。

  1. 脚注:一般社団法人海外留学協議会「日本人留学生数調査 2023」(2025年5月14日取得:https://www.jaos.or.jp/newsrelease/2024) ↩︎
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この記事を書いた人

INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。

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