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日本企業には、海外に拠点やビジネスパートナーを持っていることがあります。
その場合、コミュニケーションを取る際には言語の壁があるため、通訳者は重要な役割を担います。
しかしながら、現場を見てみると、「通訳がうまく機能していない」「会議の内容が正確に伝わっているのか不安」といった課題を感じている企業も少なくありません。
今回、弊社は国内大手電子部品メーカーのご依頼を受け、「社内通訳者向けトレーニング」および「通訳者の活用方法に関するセミナー」を実施しました。
セミナーはオンラインで開催され、約110名の従業員の方々にご参加いただきました。
今回のご依頼のきっかけは、弊社が2023年6月に執筆したブログ記事「通訳者をうまく活用する方法」でした。

クライアント企業の担当者様は、通訳者のパフォーマンスに課題を感じており、「通訳者の能力だけでなく、通訳者を使う側にも原因があるのではないか」という問題意識を持たれていました。
模索しているうちに、たまたま弊社のブログ記事を見つけてお読みいただき、そこから弊社のサービスに興味を持っていただきご連絡をいただきました。
通訳者の教育や評価、通訳者を介した業務の進め方について理解を深めたいとのご相談をいただきました。
クライアント企業では、海外拠点との会議の際に、自社の外国人社員が通訳を担っていました。
しかし、その外国人社員たちは、もともと通訳者として採用されたのではなく、技術者やプロジェクトメンバーとして現場に関わっていた社員です。
自社製品や技術内容についての知識を持っているという強みがある一方、現場の必要に迫られて通訳を担当するようになったため、通訳としての専門的なトレーニングを受けた経験がありませんでした。
その結果、「言語ができても通訳はできない」という課題が残っていたのです。
今回のプロジェクトでは、まず、社内通訳者8名に対して、実践的な通訳トレーニングを実施しました。
トレーニングでは、シャドーイングやリテンション、ノートテイキングなどの基礎的な技術トレーニングだけでなく、通訳者としての基本的な心構えや姿勢、役割についても解説しました。
発言者の言葉を一人称で伝えることや、自分がパフォーマンスを発揮しやすいよう発言者の声を聞き取りやすい位置に座ること、必要に応じて聞き返しができる環境を確保することなど、基本的なプロトコルについて説明しました。
今回のケースでは、社内通訳者がすでに高い言語能力を持ち、製品や技術内容についての知識も備えているため、通訳業務の基本を押さえることでパフォーマンスの向上を図りました。

上記トレーニングに加えて、クライアントの従業員向け(通訳者を「使う」側)に90分のセミナーを実施しました。
テーマは「通訳者を活用する方法論」です。
セミナーでは、通訳者のパフォーマンスを最大限に引き出すための話し方のコツ・配慮や、事前情報の共有の重要性についてお話しました。
通訳者本人のスキル向上はもちろん重要ですが、通訳者のパフォーマンスは「通訳者を使う側」の配慮に大きく左右されることは、あまり知られていません。
海外ビジネスに常日頃から携わっている、外資系企業の役員や管理職の方ならまだしも、一般の国内企業の従業員がその重要性を認識しているケースはほとんどありません。
実際に現場を見させていただくと、通訳者がパフォーマンスを発揮しやすい環境とは程遠いものでした。
こうした背景を踏まえ、「使う側」の立場からの配慮ポイントについて具体的に解説しました。
話すスピードや表現、言い換え方など、通訳がしやすい話し方の実例を紹介するとともに、会議に関する事前情報や資料の共有がなぜ重要なのか、また適宜(てきぎ)休憩を挟んだり、場合によっては1人でなく2~3名体制で通訳者を配置する必要性などについても、理解していただけるようわかりやすく解説しました。

また、本セミナーは録画したものを、クライアントのグループ企業多数にも共有していただきました。
他のグループ企業も同じような課題を抱えていたため、グループ全体で今回の取り組みを共有し、業務の効率化につなげていただきました。
社内通訳者の運用・育成について体系的に考える機会は、多くの企業で十分とは言えません。
通訳が十分に機能していない場合、双方の理解に齟齬(そご)が生じ、後になって問題が表面化したり、トラブルが発生したりすることがあります。
結果として、企業にとっての業務非効率・コスト負担は決して小さいものではありません。
このようなロスは可視化しにくいため、経営陣にとってもそもそも課題として認識されず、また、その課題解決にコストをかけるという発想が生まれにくいのです。
今回のクライアント企業は、この課題に早い段階で問題意識を持ち、改善に取り組まれていた点が非常に印象的でした。
通訳者の採用やトレーニングにコストをかけることは、業務効率を高め、後々のトラブルを未然に防止する「見えない投資」と言えるでしょう。
INTERP合同会社代表。株式会社 S.H.C. Collaborationグローバル教育社外顧問。
横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、現在はマルタ共和国を拠点に日本法人の経営を行う。
2011年より通訳者として活動を開始し、エネルギー、発電、国際イベントなど幅広い分野で実務経験を積む。現在は海外ビジネスの円滑化を目的に、通訳サービスの提供に加え、国際イベント支援や人材育成、情報発信にも取り組んでいる。
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