翻訳・英文作成はAI任せでよいのか?【2025年度版】

28.翻訳・英文作成はAI任せで良いのか?【2025年度版】

この数年でAIは驚異的なスピードで進化し、今やビジネスでもプライベートでも広く使われるツールになりました。

筆者は2022年に、AIと翻訳についてのブログを執筆しました。

あれから3年。
たったの3年ですが、AIの進歩は翻訳業界や海外ビジネスに関わる人々にとって、別次元のフェーズに突入したと言っても過言ではありません。

この記事の目次

2025年度のAI翻訳・英文作成のクオリティ

2025年におけるAIの翻訳・英文作成のクオリティは、非常に高いと言って差し支えないと思います。
専門的な内容であってもしっかり翻訳してくれますし、曖昧な表現やニュアンスもある程度汲み取った表現ができるようになっています。
翻訳者のレベルで例えると、中級から上級と同程度のレベルに達していると言えるでしょう。

人間のスキルは不要になるのか

ここで発生する疑問は、「今後AIはますます高精度になっていくのだから、翻訳や英文作成を人間が学ぶ必要がないのでは?」というものです。
人間が相応の翻訳・英文作成能力を身につけるには、かなりの時間とエネルギーを要します。
AIが一定の品質の成果物を作ってくれるのならば、学びのモチベーションが失われてしまうのも無理はありません。

しかし、そこには大きなリスクが潜んでいます。

AIは平気で嘘をつき、責任を持たない

それは、「AIは平気で嘘をつく」ということです。
AIの成果物は一見それらしく見えますが、実際には内容に誤りがあったり、重要な文脈が抜けていたりすることが少なくありません。
そして、AIは成果物に対して責任を持ちません。
最終的なチェックと修正は、常に人間の役割なのです。

圧倒的な時短になるため、筆者もAIによる翻訳や英文作成を多いに活用しています。
特にEメールレベルでは、多少の手直しでそのまま使えるケースも多いです。
しかしながら、よくよく確認してみると、細かいエラーが随所に見つかります。
ニュアンスがまったく違っていたり、単語の解釈がずれていたり、強調したい部分が表現されていなかったりします。

AIの成果物をそのまま使うのは非常に危険です。
人間によるチェックと手直しは欠かせません。

「Workslop」という新しい問題

最近、「Workslop(ワークスロップ)」という言葉が登場しています。
低品質なAI生成物が蔓延し、その結果として人や組織間でトラブルを引き起こす現象です。

皆さんも、メールや報告書を受け取った際に「これはAIが書いたものだな」と感じたことがあるかもしれません。
一見それらしく見える文章でも、ハルシネーション(事実に基づかない出力)が含まれる、内容が薄い、要点が抜けているなどは典型的な例です。

つまり、AIにすべてを委ねてはいけないということです。

AI時代にも必要とされる「人間の能力」

AIの技術が進歩するにつれ、人間の能力が不要になると言われることがありますが、筆者はそうは考えません。

AIを鵜呑みにしてはいけないということは、人間がAIを使いこなすだけの能力、いわゆるAIリテラシーが人間に求められます。
AIの進化によって淘汰されるといわれている業務の代表格である翻訳業や英文作成でさえ、人間に求められる能力はたくさん残っているのです。
翻訳や英文作成のケースで言えば、求められる人間の能力は、AIの成果物を正しく評価し、修正できるだけの高い日本語力、英語力、読解力、文章力です。

AIはあくまで人間の代替ではなく、補助的なツールに過ぎません。

AIと共生する未来。問われるのは「何をAIに任せ、何を人間が担うか」

インターネットやスマホが既に私たちの生活に欠かせないものとなったように、AIも今後、社会生活に欠かせないインフラとなっていくことでしょう。
好き嫌い、得意不得意に関わらず、私たちはAIと共生していかなければならない時代に入っています。

どこまでをAIに任せて、どこからを人間が担うか。
人間にとってどの能力が不要になり、どの能力が求められるのか。
AI時代を生きる私たちひとりひとりが、その境界線を見極め、考え続けいく必要があります。

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この記事を書いた人

INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。

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