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近年、日本人が海外に出稼ぎするというニュースを目にすることが増えてきました。
30年に及ぶ経済停滞が続き、賃金の上昇が見込めない日本人の若者たちが祖国を離れ、高給を求めて海外に出稼ぎに行くといいます。
デフレスパイラル、所得格差、生産年齢人口の減少、長時間労働やサービス残業に代表される過酷な労働環境…
長年日本が抱えてきた様々な社会問題を内包した事象であるように見えます。
年月を経て、それらの問題たちが膿(うみ)のように顕在化・可視化するフェーズに入ったのでしょう。
出稼ぎの対象国はオーストラリアやカナダが人気です。
ワーキングホリデー制度が活用できハードルの高い労働ビザ取得の必要がないことが人気の理由です。
オーストラリアでの人気職種は、フルーツピッキングなどの季節性労働や日本食レストラン。
上記の記事によると、収入は50万円強、精神的ストレスも少なく、英語があまりできなくても職が得られるとのことです。
若者たちが、日本の生活を捨てて新天地でチャレンジをすることは、大いに賛成であるし素晴らしいことだと思います。
しかしながら、日本の若者のエネルギーに希望を感じると同時に、そこには課題も存在すると感じました。
それは「英語力の低さによる機会損失」です。
海外のフルーツピッキングや日本食レストランの求人に対し、日本人が殺到しているといいます。
これは、日本人出稼ぎ者の求人の選択肢が限定されていることを意味します。
厳しい言い方をすれば、「英語ができないから他の仕事が見つからない」ことに他なりません。
筆者がオーストラリア、シドニーに在住していたのは2005年ですが、当時も英語ができない日本人にとって仕事の選択肢は、フルーツピッキング、日本食レストラン、ツアーガイドの3択であったと記憶しています。
19年の月日が流れた今でも、その傾向は変わっていないようです。
「フルーツピッキングや日本食レストランで月収50万円も稼げるなんて良いじゃないか!」と解釈することもできます。
しかし、裏を返せば「英語ができればもっと稼げるチャンスがある」のです。
英語ができないという理由だけで、単純作業や肉体労働に甘んじているのはもったいないという見方もできるのです。
日本人の真面目さ・勤勉さは世界的に有名で評価も高いですから、日本人人材を欲しがる企業は世界的に多いでしょう。
英語さえできれば、日本で培った職務経験や特定の業界の知見を活かして、更なる高給を狙うことが可能です。
日本に住んでいると英語学習の必要性が肌で感じられない、という意見を耳にすることがあります。
旅行に行ったときに便利、就職や昇進に役立つかもしれない、英語ができればカッコいい、程度のメリットでは学習に身が入らないのは仕方がないでしょう。
しかし、時代は変化しています。
日本は、主にアジア圏から多くの出稼ぎ労働者を受け入れてきました。
今は逆に、日本人が海外に出稼ぎに出始めました。
英語力の必要性を肌で感じる時代が、既に到来しているようです。
INTERP合同会社は、通訳業界において長年の実績を持ち、企業の海外ビジネスおよび人材育成をサポートしています。
グローバル化が加速度的に進む現代ビジネスにおいて、日本人ビジネスパーソンにとって有益なテーマに焦点を当て記事を執筆しています。
実践的なアドバイスや最新の市場動向をお届けし、日本人がグローバルに活躍できる環境を作るために微力ながら貢献してまいります。
INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。
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