オンライン通訳の普及~メリットとデメリット~

オンライン通訳の普及~メリットとデメリット~
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コロナで80%以上がオンラインでの通訳に

コロナウイルス感染拡大に伴い、一気にオンライン時代の波が押し寄せました。
ビジネスの場においても、会議、研修、セミナー、イベント、なにもかもが対面からオンラインに切り替わりました。
もちろん、通訳業界も例外ではありません。

コロナ前まで、「オンライン通訳」、「リモート通訳」という単語自体、ほとんど耳にする機会はありませんでした。
弊社の例ですと、コロナ前の通訳案件のうちオンライン対応は5%~10%がせいぜいでした。
しかし、コロナ後では80%以上がオンラインです。

コロナが落ち着いても対面通訳の需要は戻らず、オンライン通訳への傾倒は今後も続くことが予測されます。
それは、依頼主にとって大きなメリットがあるからです。

オンライン通訳のメリット2点

オンライン通訳は、依頼主にとって2つの絶大なメリットがあります。

  1. コスト・時間の削減
  2. 地方における優秀な通訳者の確保

ひとつずつ見ていきましょう。

(1)コスト・時間の削減

saving time and money

これは一般的なビジネスシーンにおいても同様であるため、イメージしやすいと思います。

弊社の例をお出しします。
2022年の秋、私は会議通訳のためアメリカ出張を予定していました。

クライアント担当者様1名と通訳1名(筆者)、合計2名が日本からアメリカ・ミシガン州へ移動。
会議自体は3時間程度を見込んでいましたが、日本からの移動時間と時差を考慮して計3日間のスケジュールを組みました。

しかし、クライアント様の要望で急遽、会議をオンラインで実施することになり海外出張はキャンセルとなりました。
この変更によるコスト・時間削減の効果を見てみましょう。

コスト面の比較

通訳料金1日分1日分
拘束料金2日分なし
日当3日分なし
宿泊費2日分なし
航空券代日本~アメリカ(往復)なし
電車賃事務所~成田空港(往復)なし
現地レンタカー代2日分なし

時間面の比較

会議所要時間3時間3時間
移動時間2日なし

コスト面では5分の1、時間面ではなんと9分の1の削減と、驚きの効果です。

毎回ここまでの劇的な効果があらわれるとは限りませんが、国内の一般的な会議でも50%程度の削減は難しくないでしょう。

通訳者だけでなく、会議関係者全員のコスト・時間を加味してトータルで考えれば、実質的な削減効果はさらに高くなります。

(2)地方における優秀な通訳者の確保

human resource

これは筆者の個人的な経験からも言えることですが、地方において優秀な通訳者を見つけることは容易ではありません。
通訳案件の90%以上が大都市圏、主に東京に一極集中しています。
通訳者が必要とされる外資系企業、海外との取引が活発な国内企業、国際的イベントはおおむね東京に集中しているからです。

また、報酬額も東京がダントツで、地方の2~3倍です。
これも単純に、資本が東京に集中しているからでしょう。
需要が多いところに供給が集まるのは自然な流れですので、通訳者の大半は首都圏に在住しています。

首都圏在住の通訳者が地方へ出張することも可能ですが、宿泊費・旅費が発生するため依頼人側のコスト負担が大きくなります。

しかし、オンラインであれば通訳者の居住先は問われません。
首都圏在住の通訳者に依頼するハードルが下がり、地方の依頼人が優秀な通訳者を確保することが容易になりました。

オンライン通訳のデメリット

can't connect to the net

オンライン通訳のメリットばかりを強調してきましたが、逆にデメリットはあるのでしょうか。

依頼主にとってのデメリットはほとんどありませんが、強いて言えば、通信環境によるトラブルが挙げられます。
インターネット環境、マイクやスピーカーの不具合、周囲の騒音などです。


これからの時代、オンライン通訳は「標準」に

上記のメリット2点の恩恵が絶大であるため、今後、オンライン通訳が下火になることは考えにくいでしょう。
2023年3月現在、オンライン通訳はすでに標準として定着している感があります。
今後ますますその傾向は強くなるでしょう。

INTERP合同会社は、オンライン通訳に対応しております。
ご入用の際はぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。

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