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多くの日本人にとって、イスラム教は馴染みの薄い存在かもしれません。
日本で主流の宗教は神道と仏教ですが、一般の人々にとって宗教の存在は希薄で、自(みずか)らを無宗教と自認する人も多いでしょう。
しかし、世界の多くの国々では、宗教が人々の生活に深く根付いています。
グローバル化が加速度的に進む現代ビジネスにおいて、外国人とのやり取りは今後ますます増えることが予測されます。
日本のビジネスパーソンにとっても、イスラム教に関する基礎知識は欠かせません。
2024年現在、イスラム教徒の人口は約20億人に達し、世界人口の1/4を占めます。
世界経済やビジネスにおいてその存在感は小さくありません。
日本企業が進出している東南アジアや中東、さらにはヨーロッパにも、多くのイスラム教徒が暮らしています。
ビジネスの場で、知らないうちに相手を不快にさせたり、自分が赤っ恥をかかないよう、基本的な知識を身につけておくと良いでしょう。
イスラム教については、ハードルが高く感じるかもしれませんが、本記事では、日本のビジネスパーソンが最低限押さえておくべきポイントに絞ってお伝えします。
イスラム教徒は、豚肉を食べることが禁じられています。
食事を共にする場合は、飲食店に事前確認をしておきましょう。
ベジタリアン対応のレストランは無難な選択ですし、最近の都心ではハラール認証(イスラム法に則って処理された食事)を受けたレストランも増えてきています。
コンビニなどで買物をするときなども、原材料を一緒に確認する程度の心遣いがあるとよいでしょう。
注意したいのは、インスタントラーメンに豚肉のエキスが入っていたり、チャーハンや総菜パンに豚肉の細切れが混ざっていることがあります。
グミやゼリーは豚由来のゼラチンを使用していますし、カレーやシチューにラード(豚脂)が使用されていたりと、思わぬところに成分が含まれていることがあります。
イスラム教徒にとって、アルコールは禁忌です。
私たちにとってのドラッグや大麻と同列の扱いと考えてよいでしょう。
食事を共にする場合、居酒屋のような場所では、たとえ自分たちがアルコールを注文しなくても相手は良い気持ちはしないでしょう。
また、手土産に地酒などのアルコール類を選ばないようにしましょう。
信頼関係を構築するには、自分の習慣よりも相手を尊重する姿勢が大事です。
イスラム圏では、家族以外の男女の関係は非常にデリケートです。
あなたが男性の場合、一対一の会話は避け、結婚や家庭などプライベートな話題に踏み込まないよう注意しましょう。
特に、男女間の物理的距離には非常に敏感であり、接触は厳しく制限されています。
欧米のビジネスの場では握手を交わすのが一般的ですが、イスラム教徒の女性に対しては、相手が握手を求めない限り男女間の握手は避けるのがよいでしょう。
イスラム教徒にとって、一日5回の礼拝は欠かせません。
彼らは小さいポータブルな絨毯(じゅうたん)を職場に持ち込んで、時間になったら聖地メッカの方角を向いて礼拝をします。
重要なビジネス会議や研修の最中であっても、彼らは礼拝の時間を守るために席を外すことがあります。
日本人にとっては理解しにくい慣習かもしれませんが、イスラム教徒にとっては大事な儀式です。
また、ラマダンと呼ばれる断食も、イスラム教徒にとって重要な儀式です。
ラマダン中は、日の出から日没まで飲食物を口にできないので、その間の会食や接待は避けるべきでしょう。
一口にイスラム教徒といっても、信仰心の強さや生活習慣は国によって大きく差があります。
アルコールの例を挙げると、サウジアラビアやクウェートなどの厳格なイスラム国家では、鞭(むち)打ちや懲役刑に服されます。
飲酒だけでなく、製造・販売や医療用アルコールの使用まで刑罰の対象になることもあります。
一方、比較的寛容な国々では、人々がアルコールを口にすることは珍しくありません。
トルコ産のワインやブドウの蒸留酒「ラク」は有名ですし、星のロゴをあしらったインドネシア産「ビンタン・ビール」は世界中で売られています。
個人差も大きく、アルコールはラマダン中のみ控える、公共の場では飲まない、酔うまで飲まなければよい、など、家族や個人単位で自分の信仰心の強さに合わせてルールを定めています。
ミニスカートを穿(は)く女性もいれば、お祈りをまったくしない人もいます。
ルールや慣習は実に多様であるため、「イスラム教徒はこういう人たちだ」と固定概念に囚(とら)われずに相手の慣習を尊重するようにしたいものです。
INTERP合同会社は、通訳業界において長年の実績を持ち、企業の海外ビジネスおよび人材育成をサポートしています。
グローバル化が加速度的に進む現代ビジネスにおいて、日本人ビジネスパーソンにとって有益なテーマに焦点を当て記事を執筆しています。
実践的なアドバイスや最新の市場動向をお届けし、日本人がグローバルに活躍できる環境を作るために微力ながら貢献してまいります。
INTERP合同会社代表。28歳で通訳者としてのキャリアをスタート。50以上の職歴と複数の小規模事業の起業経験を通じて培った実務力を活かし、通訳にとどまらず、国内外のビジネスシーンで包括的な支援を提供してきました。「海外ビジネスの円滑化」と「関係者全員の利益と成長」を理念に掲げ、近年は人材育成に注力し、日本経済の活性化に微力ながら寄与したいと考えています。横浜市と米国ダラスで幼少期を過ごし、成人後は主に東京都、北海道、豪州シドニーに在住。2023年に家族と共にマルタ共和国に移住。
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